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歌い踊るものが好きなオタクの、アラシゴトメモ

行定監督×島本先生のナラタージュトークイベント レポ

Today at Apple

Perspectives:行定勲 × 島本理生

に参加してきました!!

 

Apple製品好きには二重でありがたい企画笑

 

以下、自己満レポです。ニュアンス・記憶曖昧なところありますm(_ _)m

〔8月27日 14:00~15:15 @Apple銀座 3F〕

 

 

開始前からスクリーンにハッシュタグのお知らせ。

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Appleの方から企画の説明→主題歌予告編→監督と島本さん登壇

自己紹介で監督は、昨日の朝起きたら声が出なかったから、手話で今日やろうかと思った。手話できないけど。 と話され早くも会場笑い。

島本さんも、口の中を怪我して昨日くらいまで喋りにくかったけどなんとかビタミン剤で治してきた。 と。 

 

仲良しか笑

 

(司会進行が監督だったので、鉤括弧なし 基本監督のお話)

(スクリーンには、話に合わせ劇中の写真やロケ地富山の写真)

 

出版されて結構すぐ 2005年に東宝から企画がくる。

セカチュウをやったあと。今度は大人の階段を登る主人公の話を。

ナラタージュは嘘のない物語。

ストーリーの起伏ではなく、感情の起伏がある物語。

初稿が出来上がってキャストに声をかけるがダメ。俳優たちにとってリスクがあるから。で「間を置きましょう」と言われる。

間を置いているときに、その前にこれやりませんか?ってまだ完結してない漫画持ってこられて「これを完結させてください」なんて言われたりしながら。

他の会社にも権利が回っていって、時に、別の会社からまた監督にオファーがきたり。

権利が空いてるとなればすぐ連絡して、とカドカワに言っていた(監督は映画化するなら自分がやりたい、と思っていた感じが伝わってきた話ぶり)

それから9年目にして成就。

この9年、映画は未成年向けのファンタジックな映画が増えた。

一方ナラタージュは生々しい。

これ、筆者の実体験?って思いません?笑

本の表紙も、島本さんに似てるし、書いた時も20歳。主人公本人?ってなる

(島本)「私も表紙持ってこられたときびっくりしました笑 似てるからちょっと...と思った」

表紙の写真は陽だまりがありつつ雨も降っているような。

  

これだけいろんな人の手を通って回ってあーだこーだなった。

で、今こうして「松本潤×有村架純」になって、他の人たちに「ざまーみろ!」って思っているwww

 

ナラタージュはもう、賭けをやろうと思っていた。予算が少なくてもいいから。

少女漫画等の消費しやすいものをやらず。

『ピンクとグレー』で小川プロデューサーと仕事して、「ナラタージュやろうよ」と。

小川さんが松本君、監督が知り合いを通じて有村架純を連れてきて成就。

 

(ポスターの写真がスクリーンに映され)

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このポスター・上の部分が他のラブストーリーとは一線を画す。(顔が見えない、かろうじて潤くんの横顔だけ、という点で)

ヨーロッパ映画なら下の3人のピンの写真無しで上の部分だけでポスターにする。

 

- 映画化まで10年。待っていた島本さんとしてはどう?

(島)「無理に決めなくてもベストになるのが良いと思っていた。

映画化してほしいとは思っていたけど、早くすれば良いとは思っていなかった。

10年も待っていたので、忘れていたくらい(笑)

今回決まってたって伝えてくれたカドカワの人は大興奮だったけど、実感がわかなくてあっさりと『あ、そうですか』って返してしまった。

発表する一週間前くらいになって緊張してきた。」

 

- 映画を観ての感想は?

(島)「観終わって、放心状態でした。

一つ一つの場面が強烈で印象に残っちゃって、昨日までに観ていた映画、それこそララランドとか観ていたんですけど、全部忘れてしまいました。

日本映画でこういう、生々しいのができるんだなーと思った。

こういうのはフランス映画とか、ヨーロッパな映画の特権だと思っていたから、嬉しかった。」

 

- 原作の中に出てくる『エル・スール』*1はどこから?

(島)「『ミツバチのささやき』(同じビクトル・エリセ監督の作品)が好きで、そこから知った。ナラタージュには『エル・スール』が合う・連想させるものがあるな、と思ったから。」

『エル・スール』はナレーション劇。今回、脚本家さんは全部そのナレーションを書き起こしてみたらしい。

で気づいたのは、映画は南に行く前までで終わっている。行ってない。

つまり、その後彼女にはまだ何かあるんじゃないかと思わせられる。

映画「ナラタージュ」はどう先生のことを思って生きて行くのかを示唆する終わり方にし、ラストは原作から変えている。

(島)「原作通りにやるとちょっと重いかなーと思っていたから、(変更されて)良かったと思う。」

 

- 『エル・スール』に加え、映画の中でキーにした作品『浮雲*2成瀬巳喜男監督について

成瀬巳喜男監督作品の、“男と女のどうしようもなさ”が島本さんのどの作品にも通ずると思って、『エル・スール』と成瀬 2本立て。

憂いがあるけどちょっと過激。人の道から外れる。

島本さんの作品にもそういうのが多いけど、なぜ?

(島)「(著作を読んでもらうということは)読者と作者の対話だと思っている。密室状態。人には言えないようなことを話し合いたい。」

 

泉が小野君に土下座するシーン。

(島)「ヒロインが土下座する、なんていう作品は他にないと思う!!

小野君が圧倒的にかわいそうで、

絶望的にこの二人はダメだろう、って思わせるようなインパクトのあるシーンが書きたくて考えたらこうなった。」

 

ナラタージュに出てくる男は謝る男ばっかり。

先生なんてすーぐ謝る。でも変えない。

それに怒る泉。内心すごい怒っている。

でも台本上、抑えなきゃいけない。

その泉の顔がすっごい不細工。でもそれがすごく良い。

観ていてすごい不細工だったなーと思って、それを有村に伝えたら嬉しそうだった。

 

- なぜ2時間20分と長くなったか

言葉にできない・人には分かり得ない感情を表すには、役者の表情を見せたい。

そのためには時間が必要だった。

でも、次、どんな表情するかな、って観客は息をのんで観るので、あっという間に感じる。

プロデューサー陣が、最初音楽がまだ入ってない状態のやつを夜から観初めて朝まで見れてしまった。3時間30分。 どうしよう、切らなきゃ、2時間にしなきゃ、って(笑)

 

試写観た後、「若い人が観てトラウマになって欲しい」って言ってましたよね?

(島)「欲しい とは言ってないです(笑) トラウマになりそう、とは言いましたけど(笑)

監督がトラウマになって欲しいって仰ったんじゃ?」

俺か(笑) ね、トラウマになって欲しい してやろう(笑)

 

(島)「映画の、看病するシーン、原作にはないけど『葉山すっごいやりそう!!!!』って思いました。」

そう、そのシーン、原作にはないよね? ないと思ってたんだけど、脚本家が「いや、ありますよ」みたいに言うから。。それだけ、脚本家の中に入ってるんだろうね。

 

葉山が“良かれと思って”やることが、泉の怒りに繋がって暗雲立ち込める

 

- キャスト。松本潤なのはどうだった?

(島)「王道の、普通の恋愛映画に収まっていないのは、松本さんの演技があるから。

表情がすごい。ずーーーーっと残っている。

定まり切らない表情の演技。

葉山先生は、マッチョな人は嫌だ、と思っていて。」

 

キャスト頓挫した人たちは、その頃はそうでなくてもその後年取ってマッチョになって刑事モノやってるんだよなーwwww

それか中身がマッチョ。

松潤は根が正義感のかたまり。

クリエイションに興味がある人。

繊細と言うより、監督が思っている所に着地したい完璧主義 だと思う。

でも完璧じゃないんですけどね、って本人は言うけどね。

 

葉山先生は、日本にはいない。

もうトニー・レオン*3に頼もうかと思ってた(笑)

日本にいないならゼロから作り上げるのはどうかな、と松潤を誘った。

光を抑えて逆光にして輪郭をぼかしてみよう。

 

松潤の、120%ある目力を40%にして。ブラインドおろせるでしょ?って。

前髪作って眉毛消して。 チャームポイント消して。

プロフィールの時に(←?)目が見えるか見えないか、な眼鏡をかけて。

外見から変えていきつつ内面を作る。

 

(島)「ファンの人が、実写化するなら葉山先生はこの俳優が良い、って言ってくださる。みんな、葉山の大人な部分は合ってる俳優さんを挙げてくるけど、

泉の先生として青春の中の人、少年のような顔もできる俳優さんは挙がってこなくて。

その点、松本さんは、泉の高校時代の葉山も良いです!」

 

- キャスト。有村架純は?

映画女優としてのプライドがある。

(監督の中で)一番泉にピッタリ。 映画化の話が出た最初の頃はまだデビューしていないから、本当にタイミングが良かった。

(島)「芯が強そうな感じがするのが、良い。もっと揺らぎそうだと泉がかわいそうすぎるから。」

 

- キャスト。坂口健太郎は?

初めて仕事したけど、器用さを持っていて軽やか。

唐突に変わる、感情の起伏のアップダウンが激しいのを演じれていた。

(島)「小野くんは100点満点!!!!(先生興奮気味)原作ではもう少し小柄な設定なので、そこだけ。再現率がすごく高い!! 酷いことを言った後に、ごめん!ってなる感じが上手い。」

 

- 小説ナラタージュが生まれたきっかけは?

(島)「初めてカドカワからきた仕事。長編書き下ろしで、好きなこと書いてください、と言われた。ちょうど高校卒業した頃で、青春のキラキラが終わってしまうから書き留めておきたい、と。」

残照じゃなくて、今の光を掴んでおきたい感じが伝わってきました。

 

- ロケ地の話

原作は舞台が東京。でも東京だとミニマムになりすぎる。

『ライアンの娘』*4みたいに地方の僻地でなら、成立するのでは?とプロデューサーと話していた。

それで候補に出たのが、

函館→森田芳光監督がすでに描いている

北陸の方は?

金沢→観光客、外国人が多い

じゃあ隣の富山は?→大学とかが話に出てくるし、「街」感は必要。その点ピッタリ。

海沿いの町。射水の運河の周りの家は黒瓦の屋根で、その黒瓦に雨を降らすと綺麗。

ロケハンしていて人が出歩いていない!からセットみたい! 良いじゃん!と決定。

 

葉山先生は射水市に住んでいて、高校も射水市

泉・小野は高岡市に住んでいて、射水と高岡は万葉線で繋がっているから、「これに乗って行けば会える」という距離感。

 

富山で撮ることで「果ての世界」にみんながいるように見える。

先生は東京からの逃亡者でもある。射水市の運河沿いの仮の宿で暮らしている。

 

(島)「原作も、東京で書いてるけど結構いろんなところの風景を混ぜていて。

例えば小野君の家(裏に雑木林的なのがある)の設定は茨城にあった家から。」

映画で、舞台を富山にしたことで、小野君の実家の設定が変わった。

富山ー長野のまま、だと近すぎる。車で3時間くらいの距離感というところと、小野君(坂口くん)が京都の男の子っぽい、というところで京都の設定に。(だから京都弁を話す場面もあるっぽい話ぶりでした)

 

 

映画界の論評ではラブストーリーっていうと軽視されがち。映画祭とか。

社会的な話、貧困とかの方が。

ラブストーリーは身近だし。トキメク、とか軽視される。

でも、ラブストーリーは演者の表情が大切。

役者の技量を克明に表す。

恋愛映画いくつも撮ってきたが、今の所、集大成になったと思う。

 

有村が撮り終わって本当に疲れた、と言っていた。

スタッフと話もせず隅っこに一人でいて孤独だった。

松潤は自分を封印し、個として立っていた。

 

(島)「他の人には見せない顔、とかが出てくるのが恋愛。だから書きがいがある。」

 

(島)「葉山先生の最悪なセリフ ベスト3が自分なりにあって。でも1位が映画になかった(笑)

『だって君はさっき、一緒に死んでもいいって言ったじゃないか』と逆ギレするシーン。本当にここは酷いから、むしろ映画になくて安心した(笑)」

 

〈参加者からの質問コーナー〉

Q.本の中の描写で、映画化するのに気にした部分は?

目線。視線。

クライマックス、先生の目線の一つで泉が心を決める、というシーン。

この最後の目線のために、それまで輪郭をぼかしている。

(泉からみて、葉山の)目の中に空洞のようなものがある

泉が、目があうとそらされて。パッと見ると、じっと見られていた、というようなことが多い。

 

ウディ・アレンが結ばれる恋愛なんてだめ、と言っていた。

と言いつつ年取ったアレンの作品は結ばれてるけどw

(ここの話、どういう流れで出てきたのか全く思い出せない.....メモにがっつり書いてあったし、そう話してたのは覚えてるんだけど...m(_ _)m)

 

Q.最初に企画がきて作った初稿・叩き上げの時にすでにキャストは浮かんでいたのか?

また、島本さんも、執筆した際に思っていた俳優はいるのか? 

葉山はブランクだった。(いなかった)

(島)「14歳のときにみた俳優さん一人が生涯ずっと好きで、、、渡部篤郎さん。スワロウテイルで。何するかわからない危うさがある。」

企画2度目のときに、渡部篤郎は考えた。若返らせたらどうかな、って。でもあの人僕と同い年ですから。それは無理だって。笑

 

 

最後にフォトセッションを行い、終了!

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とっても充実していて、もっともっとお話を聴いていたかった!

トークの中に出て来た映画、観たことないやつをはやく借りてこようと思う。笑